この夏の旅行を振り返ってみたら、マーケティングのヒントが詰まってた
今日から9月ですね。いよいよ夏休みも終わりですが皆さんは何をして過ごしましたか?
JTBの調査によると、2023年の国内旅行者数は7,250万人・対前年116.9%でコロナ禍前と同水準まで回復。海外旅行者数は120万人・対前年214.3%と推計されていました。
そんな筆者は先月友人Aと韓国へ。飛行機の座席はほぼ満員でしたが、空港ではあまり混雑は見られず、現地でも日本人は思っていたほど多くないなという印象でした。
今回の海外旅行は3年ぶり・2回目とまだまだひよっこトラベラーな筆者。友人Aも久々の海外だったそうですが、航空券からホテルの予約まですべて自分たちで、しかもかなり前から段取りを行っていました。改めて旅行の計画~実行を振り返ると、情報収集やマーケティングのヒントがたくさんありそうな予感。
今回の記事では旅行における情報収集について、自身の経験をn1事例としてご紹介していきます。
プロフィールと韓国に行くきっかけ
筆者は昨年から、友人Aは5年ほど前からK-POPにはまっています。それぞれ違うアイドルグループに推しがいますが、そのグループ以外の楽曲も広く聴きます。韓国語を話したり理解したりすることはできません。
いつか2人で遊んだときでしょうか。「韓国行ってみたいんだよね」「私も」「じゃあ一緒に行こうよ」「夏休みかね」という軽い会話で、韓国行きが決まりました。
旅行の準備フロー
旅行しようと決まってから諸々の手配を終えるまでを振り返り、フローとして整理してみるとざっとこのような流れでした。
各行動とその情報接点、そしてその時々に感じていたことを順を追って書き連ねていきます。
①航空券の予約
友人Aの長期休みに合わせて今年の1月ごろ(旅行当日から半年以上前)フライトを予約。私たちは住んでいる地域が違うので、なるべく現地の到着・解散の時間がずれないように片っ端から航空会社のサイトを見ていきました。
ここでの決め手は【なるべく値段が安い】【無難な時間に発着】【2人の発着時間に1時間以上ずれがない】の3つ。結局2人とも同じ航空会社で、その日の中で一番安かった夕方着・朝出発の便を予約しました。
②スポット探し
おそらく誰しも共通で、醍醐味でも大変でもあるのが「どこで何をするのか」問題。情報入手の手段も方法もどんな内容に惹かれるのかも人によってバラバラで、経路を分析するのが難しいポイントでしょう。かなり細かくなりますが解説していきます。
筆者はまずはInstagramで「#韓国旅行」などのハッシュタグを検索。ざっと気になるものを見たり保存したりすると、自然と「発見タブ」(虫眼鏡マークのページ)に似たような投稿が表示されるように。ハッシュタグ検索と発見タブの両方で、気になる場所にまつわる投稿を保存していきます。
具体的にどんな情報に惹かれたのかというと、【食べ物や内装がイケてるカフェ】【韓国発の化粧品・アパレル・雑貨ブランド】【エリアごとのおすすめグルメスポット】【入国や現地で気を付けるべき事項】です。「なんとなく気になるな」と思ったらすぐに保存していきます。
ある程度保存数がたまったら、特に行きたい場所を選別し友人Aとシェア。Instagramの「コラボコレクション」というもので保存した投稿を共有していきます。(最近リリースしたらしいこの新機能、便利そうなので使ってみることに)2人だけのフォルダが作れるというイメージです。お互いに暇な時間や、電話をしながら投稿をぽいぽい入れていきます。
※友人AはTikTokが情報収集の主戦場とのこと。普段からInstagramよりもTikTokを見ている時間が長いそう。しかしTikTokでは保存した投稿のフォルダ分けができないので、TikTokで得た情報をInstagramで調べなおして投稿を保存するんだとか。筆者はあまりTIkTokを見ないのでそのような情報接触の仕方もあるんだなと思いました。ちなみに2人ともガイドブックは購入せず、ほぼインターネット上の情報だけしか目にしていません。
③プラン作成
お互いに保存した投稿をコレクションに入れ終わったら、その投稿で紹介されている場所を「naver」という地図アプリでお気に入り登録しリストにまとめていきます。(韓国ではGooglemapがあまり機能せずこのアプリがおすすめだそう。これもまたInstagramで知りました)登録した場所はピン止めされ、そのリストをシェアすることで2人とも同じ画面が見られるように。
このピン止めの場所を見ながら、どのエリアからどうまわれば効率よくすべて行けるのか、電話をしながら計画を立てていきます。「ここは絶対に行きたい」「〇〇と××、どちらかというと××のほうが行きたい」など、持ち寄った場所をすり合わせていきました。
④ホテル予約
この日にこのエリアへ行くということが決まったら、拠点として最適な場所を考えてホテルの予約に取り掛かります。検索エンジンから「地名 ホテル」と調べるか、ブッキングドットコム・アゴダ等の宿泊予約サイトに地名を入れてひたすら探します。友人Aと電話をつなぎながら探して、良さそうなところを見つけたらLINEでそのホテルのURLを送ります。
特に重視していたのは【駅からの近さ】【清潔感】【1泊1万円代】。たくさんのスポットをめぐるために毎日異なるエリアに宿泊することにしていました。無駄な移動は避けたいと基本的にすべて駅近のホテルを選択。
清潔感については複数のサイトから部屋の写真を見比べました。最低限綺麗なところではないとなんだか心が休まらない気がしてしまうのです。値段との兼ね合いが難しくもありつつ、納得する場所を予約。
ホテルを取った後はその周辺エリアで行きたい場所をInstagram等で探しまた投稿を保存。ただ、すべてガチガチに計画するわけではなく、寄り道できる余裕も作りながらざっくりしたプランを完成させました。
そもそも、なんで韓国に行きたかったの?
特に大きな目的もなく、軽いノリで行くことになったこの旅。旅行前にいろいろな人から「韓国で何するの~?」と聞かれましたがなぜかうまく答えられませんでした。「カフェとか。。。買い物とか。。。?」
私たちを韓国へに向かわせたのはどんな要素か?何に惹かれたのか?最後に【⓪旅行先の決定】について、影響の要因を考えてみます。
⓪旅行先の決定
韓国に関する私と友人Aの共通点は好きなアイドルがいるということ。実は筆者はこれまでほとんどK-POPに親しみがなかったのですが、そのアイドルをきっかけとして興味の幅が広がりました。つまり、音楽への関心が入口となり、流行りの服・コスメブランド・ドラマ・料理など、韓国カルチャーが生み出すコンテンツに自然とアンテナが向くようになったのです。自身の生活の中に韓国カルチャーが流入すればするほど韓国発のブームが日本や世界に広がる様子を目撃する機会が増えます。より一層、「韓国=(自分にとっての)トレンド」として、気になる存在になっていくのです。
新大久保・鶴橋などのコリアンタウンに行ったりネットショッピングをすれば韓国カルチャーが生み出す「モノ」自体を享受することは可能です。それでも現地に行ってみたいと思うのは、自身が日々影響を受けている流行の現場を目に焼き付けたいから。私が韓国旅の目的をうまく答えられなかったのは、明確に「これがしたい」というものがあるというよりも、その「モノ」が生み出される地にはどんな日常があるのかを目にしたい(=”本物”を知っている状態になりたい)と思っていたから、なのでしょう。
トレンドを生み出す「ホット」な現場で、多くの人が知らないであろう「リアル」な光景を自分なりに発見したい。そんな欲求が韓国へ行こう!という気持ちを高めたのだろうと推察します。
これがわたしの旅行計画
以上が筆者の韓国旅行における情報接触と影響要因でした。
世代柄、SNSからもたらされる影響が大きいのは事実です。しかしどんな情報に心を惹かれるのか・行ってみたいと思うのかは年代といった大きなくくりでは判断できません。今回で言えば、韓国に興味を持ったきっかけや性格・ライフスタイルなどが絡み合っていることがわかります。このようにn1の事例を見つめ深堀りすることで、一見複雑そうな生活者の行動と気持ちを整理する第一歩となります。
このようにシルホド!では生活者を観察しインサイトを発掘することで企画立案のサポートを行っています。生活者を理解し心を揺さぶる企画にご興味がある方はぜひお問合せください。
文:シルホド!note編集担当 飯野