私たちがプロテインを飲む理由
皆さんは「プロテイン」と聞いてなにを思い浮かべますか?
「ゴールドジムに行くような男性が飲むもの」「筋肉作りのため」「粉っぽくて飲みにくい」というように数年前までは多くの人にとって縁遠いものだったのではないでしょうか。かつては筆者自身(女30代)もそのようなイメージを持っていましたが、今年からプロテインを摂取するようになりました。
今回はそんな「プロテイン」をテーマに市場の定量データや生活者1人ひとりのリアルをご紹介していきたいと思います。
急拡大したプロテイン市場
まずはじめにプロテインの概況からみていきたいと思います。
富士総研の調べでは、プロテインをはじめとするタンパク補給食品の国内市場は2021年頃まで二桁成長を続け、2022年以降は一部ライトユーザーからの離脱がみられるものの小幅ながら拡大が続くと予想されています。
またプロテインパウダー市場に限ってみると、富士総研の調べによると、二桁成長が続き、2021年に930億円(2020年比113.8%)、2026年には1,500億円と予測しており、急速に拡大しています。
TBS総合嗜好調査で性年齢別でみると以下のグラフのとおり、プロテインパウダーの摂取率は年々増加し、特に女性の摂取率が5年前と比較して4ポイント以上増えています。中でも女性20代・30代の伸長が著しくなっています。
アラサー女性のプロテインの「リアル」
シルホド! 社内コミュニティでプロテインの話題が上った際、複数人の20代~30代の女性が飲用していると以下の投稿があり一部抜粋してご紹介。
ちなみに筆者自身は、ジム契約した際にジム専売品のプロテインパウダーを購入したのをきっかけに飲み始め、ジム行った後に飲むことを習慣にしています。
上記の方々はきっかけは運動が多そうですが、飲むシーンや目的がそれぞれ異なるようです。
彼女らのプロテインを摂取する目的は以下にまとめられるのではないでしょうか。
-栄養補給
-肌・髪・爪などの美容
-筋肉向上
-ダイエット、ボディメイク
-食事をつくる・食べる手間を省く
筆者自身は「運動後の補給、筋肉向上」が主目的で、日々を健康的に楽しむ為に体力と適度な筋肉をつけたいと思って、ジムのトレーナーさんに勧められて飲んでいます。
他のシルホド!若手メンバーもここ数年でプロテイン摂取した経験があると答えています。
このようにアラサー女性たちを新たに取り込み、それぞれの生活にフィットしたということがプロテイン市場の拡大のひとつの要因であると思います。
同メンバーで、私たちにアラサー女性にとってプロテインとはどんな存在なのか、なぜ生活に溶け込んでいったのか、どんな価値観やニーズにマッチしたのか、というのをディスカッションしながら洞察してみました。
プロテインの価値とは
栄養が蓄積され自分の身(体の一部)となる
改めてプロテインとはどんな存在なのでしょうか。
同メンバー内でのプロテインに対するイメージは、冒頭で記述したとおり「運動」や「筋肉」というものでした。最近ではプロテインは筋肉だけでなく、爪や髪の毛、肌など美容にもいいと謳われていますよね。
そうした先行イメージによってすぐにではないものの、言葉どおり「自分の身」になり無くならないもの、筋肉などの自分の体の一部となって形成され蓄積されていくものという認識が漠然としながらもあるのではないかと思います。
その認識により他のサプリメントや栄養素と比べても効果効能がイメージしやすいというのがあるのかもしれません。
そうしたプロテインに対する信頼感や効果への期待感が伺えるのではないかと推察しました。
持続的な理想の自分を手に入れる
プロテインを摂取する私たちの状況はどうでしょうか。
どんなことを求めて飲んでいるのでしょうか。前述したプロテインを摂取する目的をさらに深掘りしてみました。
このテーマでディスカッションして出てきたキーワードや理想の状態として「心身ともに健やかであること」「健康美人」「揺らがない自分」などがあがりました。
アラサー女性に限らずですが、人間関係や仕事などの環境変化などで自分自身が不安定な気持ちになったりすることも多いのではないでしょうか。
昨今の「自己肯定感」ブームも相まって、自分自身にフォーカスしお金や時間を費やして「自分を大事にしたい」「自分の為になることをしたい」という意識が高まっていると思われます。
そんな中で例えばメイクやネイル、エステなどは女性にとって綺麗な理想の自分になれる手段ではありますが、それは一時的なものでありつくられた状態。そんな理想の自分でいることができるのは一定期間の限られた時間だけです。
一方でプロテインは前述したとおり、「自分の身」になり無くならないもの、持続的な理想の自分を形成していくものと捉えられている。そんななかで、理想の引き締まった体型、艶やかで健やかな肌・髪、、人それぞれ理想は異なりますが、プロテインが「好きな自分」になる為のプロセスに欠かせないものになっていったのではないでしょうか。
だからこそアラサー女性の生活に新たに取り入れられたとのではないかと思います。
私たちにとって、プロテインの価値とは消えてなくならない持続的な自分の理想像を手に入れることができること、それによって揺るがない好きな自分になれることなのではないでしょうか。またそれを目指すプロセスや継続して取り組む自分自身も評価し褒め称えたいという想いがあるのではないでしょうか。
話は変わりますが、美容整形も身近になってきていますよね。筆者の周りでもポジティブにオープンの場で語られることも増えたと実感しています。
ここで述べてきたプロテインに求めていることや価値観とも通ずるところがあるのではないかと感じます。
例えばこれまで二重になるためにアイプチ(テープや液体状の化粧品を用いて二重ににすること)をしていたのが持続的な理想の二重にするために整形をする、クマやシミをメイクで隠していたのが施術を行うことでそれらのない理想の状態を手に入れるなど。
また各々の理想を追い求めることが肯定され応援される社会に変わってきていると思うので、好きな自分になる為にお金と時間を費やす傾向は今後ますます加速していくのではないかと感じました。
このようにシルホド!では、自分たちの体験や生活者の観察を経て、データと紐づけて、ディカッションやワークなどを行っています。
生活者起点で物事を考え見つめ、新たな兆しの発見や生活者を動かすための企画立案のサポートを行っています。ご興味がある方はぜひお問合せください。
文:シルホド!note編集担当 小林