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生活者理解にChatGPTはどう使えるか?を試してみた

オリコムのシルホド!プロジェクトでは「生活者探求」をテーマに日々、さまざまな活動を行っています。

先日、ChatGPTを生活者理解に活用できないか?をテーマに、業務でChatGPTを使いこなしている某メーカー勤務のNさんをお招きし、有志の勉強会を開催しました。
少人数でしたが、発見に満ちた濃い会になりましたので、その模様や気づきをレポートいたします!


目から鱗だった、NさんのChatGPTの使い方

「生活者探求」を標榜するにあたり、メンバー個々人の日々の自己研鑽はとても大切です。メンバーはインプットのため、外部の方が参加する勉強会や交流会などに積極的に参加するようにしていますし、その情報も積極的にメンバー間で共有しています。

数ある外部の勉強会のうちの一つで、ChatGPTの話題がありました。
その際に、Nさんは資料作成や調査票の作成といった日常業務の質を上げるために、ChatGPTを便利な壁打ち相手として使っているという話とともに、具体的な例を見せてくださいました。

私自身、プロンプト文例集などを見て、手探りで使ってみる機会はこれまでにもありました。
しかし、Nさんの活用例を聴いて、ChatGPTに向かう姿勢がそもそも違うのではないか?と感じたのです。具体的には「どういう意思をもって向かうか」「どう問いかけるか」そして「回答をどう受け取るか、分析するか」という姿勢です。

そこで、Nさんを講師に迎え、その技を少しのぞかせていただきつつ、参加者自身も実践しながらスキルアップを目指す勉強会を有志で開催しました。

誰と誰がチャット(会話)するのか?を考える

まずは、ChatGPTに自分の情報と、どんな回答が欲しいかを設定できる!というお話をいただきました。

設定画面からカスタマイズができる

この設定の違いによって、同じ投げかけをしても回答が変わります!
例えば、自分が「小学生5年生」と「大学生」に設定を変えると、小学5年生設定時は相談に乗るようなやさしい言い回しで、大学生設定時は説明口調で端的な回答になりました。

また、「こんな回答をしてほしい!」という設定に役立つ記事もご共有いただきました。

投げかけ方が、ChatGPTの人格を育てる?

ChatGPTをうまく活用するためには、「どのように質問を投げかけるか」が非常に重要です。

具体的で明確な質問は、ChatGPTから的確で深い応答を引き出します。
しかし、曖昧で漠然とした質問では、期待するような回答が得られにくい。
そして、投げかけのトーンに合わせて、ChatGPTの回答のトーンも変わります。

今回の勉強会では、「今の若者の働くことに対する意識」というテーマで、参加者それぞれが、ChatGPTに投げかけをして、その会話を発表しあうという試みを行いました。

miroを活用してみんなの回答をシェアしながら実施しています。
参加者それぞれの投げかけと回答の例

やってみると、「投げかけ」文には参加者それぞれの普段の会話のクセが反映されがちだなということが見えてきました。そして、ChatGPTの応答も、それぞれの人との普段のやりとりに近いものになっている感じがしました。
投げかけ方が、ChatGPTの「人格」を育てるとも言えそうです。

機械だからこその良さもある

このように、ChatGPTには、ほんのり人間味を感じる部分もあるのですが、AIだからこその良さもあるという話も挙がりました。

一つは、集合知であるからこそ、世の中の代表的な意見や、平均的な回答を拾いやすい点です。よほど偏った視点で回答してくれとお願いしない限りは、生活者が一般的に考えそうなことをさらりと知るのに役立ちます。

もう一つは、感情的に反応してこない点です。
たとえば、相手が生身の人間だと「こんなこと訊いたら、嫌な気分にならないかな?」「失礼じゃないかな?」という気を遣う場面があります。ですが、ChatGPTなどのAIでは、相手の表情を伺う必要もなく、罪悪感なくやり取りすることが可能です。
さらに、「さっきの質問失敗したなぁ!」という時には、会話をやり直せますし、回答が不服な場合にはケチをつけることだってできます。

言いたいことをぶつけても、しつこく同じ話題を振っても、炎上も怒りもしないのが、ChatGPTの良いところだといえますね。

結局、人間力が試される

ChatGPTは素晴らしい情報の倉庫であり、アイデアを生み出す助けにもなってくれますが、最終的な判断や創造的な決定は使い手に委ねられます。

そもそも、ChatGPTに意図と異なるお題を投げかけてしまっては意味がありません。「何を知りたいか」を正しく伝える必要があります。
そのためには、知りたいことに対する好奇心の強さとともに、欲求を言語化するスキルが必要です。
さらに、ChatGPTが出したアイデアをそのまま鵜呑みにするのではなく、批判的に評価したり、それをさらに発展させたり、修正したりする力も問われます。

結局のところ、ChatGPTを使いこなすには、コミュニケーション能力人間力が試されているのです。

Nさんの活用例を拝見していると、そもそも、Nさん自身の人間力がすごいのだなということが、改めて感じられました。

おまけ:今後の活動

シルホド!では、ChatGPT勉強会にとどまらず、マーケターの皆様とともに学べるような、生活者理解を深めるための勉強会、ワークショップ、座談会等を企画中です。
さまざまな領域の方々とつながる貴重な機会を提供したいと考えています。ご興味のある方はぜひお問い合せください。


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