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これも消齢化?NewJeansにハマる60代女性


年齢のセグメントはできない?「消齢化」とは

博報堂生活総合研究所をはじめ、昨今提唱されている「消齢化」をご存じでしょうか?「消齢化」とは「かつては年代による違いが大きかった価値観や嗜好の差が小さくなり、結果的に年代ごとの特徴が徐々に消えていく現象」だそう。世代別に生活者を捉える、ということは難しくなっていくかもしれません。

「消齢化」の要因としては以下の3つが挙げられています。

①スマホやネットの普及によりできることが増えたこと。
伝統的価値観に縛られにくくなったこと。
③この2つによって個人の欲求を通しやすくなったこと。

総務省によると2022年のインターネット利用率(個人)は84.9%だそう。モノや情報に簡単にアクセスできるようになり、年齢による能力の差が縮まっていると言えます。

また、多様性の時代と言われるように、「〇〇なんだから~すべきだ」という価値観は薄まってきています。

このようにできることが増え、さらに過去のルールに縛られなくなった結果、個々人のやりたいことがより実現できるようになったと言えます。

とはいえ「Z世代」という言葉が代表するように、年齢によるラベリングはまだまだ行われています。そんな中、これはまさに「消齢化」かも!と感じた例をご紹介します。

NewJeansにハマる母・60代

最近はK-POPばかり聴いている筆者。特定のグループ以外も幅広く楽曲を聴くタイプで、新曲でいいなと思うものがあればプレイリストに追加しています。 音楽を聴くのは主に移動中。電車はもちろん、母が運転する車の中でもBluetoothでつなぎ流してます。

最初は「K-POPは韓国語だからわからない」(私も韓国語がわからないのですが・・・)「似たような曲が多いね」と言っていた母も、いつしかプレイリストには私と似たような曲が入っていました。

K-POPはフックソングと言われ、同じフレーズを繰り返し人の耳を虜にする音楽です。かつて私も韓国の音楽にはさほど興味がなかったのでよくわかるのですが、何度か聞いているうちに「なんかいいじゃん・・・」となったのかなと推測しています。

そんな母のプレイリストに入っている曲、例えばNewJeansです。レコード大賞・紅白歌合戦に出場する前から楽曲を聴き「みんなかわいいね」「いい曲だね」といつしか応援のまなざしを向けるように。【Z世代の間で大人気】という枕詞がつきがちなNewJeansですが、60代のファンが確かにここにいるのです。

そして最近の母はメジャーなアーティストだけでなく、ほとんど日本では知られていないような楽曲もいつの間にか聴くように。NewJeansのようなアイドル系ばかりではなく、コアなR&B系の曲もドライブミュージックになっていて、今度はわたしのほうが「これ誰の曲?」と尋ねることも多くなってきました。

「消齢化」を推し進めているもの

20代筆者の興味関心に母が影響を受けたという前提はありつつ、これはまさに上記で述べた①デジタル化の影響が大きそうです。 日頃音楽をよく聞く母は、家事の最中にApple MusicやYouTube Musicを流しています。ヒットソング内にK-POPがランクインしているという時流と、K-POPが再生された履歴からターゲティングされて、よりコアな楽曲がおすすめされているのでしょう。

自ら探しにいく労力をかけずとも 「お気に入り」が増えていくのがおすすめ機能のすごさ。しかも、お!と思った曲からそのアーティストの別楽曲へのアクセスも容易になっています。情報感度が高くない人も「偶然の出会い」を果たしやすくなっていると考えます

また、60歳なら普通はこんな曲を聴くもんだ、という常識もなくなってきているのだと思います。母の友人もNewJeansを聴くと話していたそうな。「Z世代で人気」のものに関心を抱くのがおかしいことでもなければ、若者ぶっているという風に感じる人もいないのでしょう。

デジタル化が進む世の中、さらに手軽に誰もが使えるものになればなるほど、情報は世代の壁を通り抜けていくと思います。

このように、年齢ごとに価値観や好みを判断するということがさらに難しくなっていくと予想されます。もちろん、年齢が判断材料として全く機能しなくなるわけではないでしょう。とはいえ「若いから~だ」「〇〇歳はこのような傾向がある」という判断ではなく、個々人の背景を細かく・深くとらえることが重要になってきそうです。

文:シルホド!note編集担当 飯野


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