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「なぜ コーデを揃えるのか?」を改めて考えてみる

こんにちは。
生活者観察ラボ シルホド!note編集チームの友田です。

先日、シルホド!のZ世代女性社員メンバーとの雑談会を行いました。
その中で、あるメンバーから「テーマパークに行くと、コーデを揃えたり、お揃いのカチューシャをつけるかどうかでモメることがある。私は揃えたくない。恥ずかしい」という発言がでてきました。

なぜ お揃いのものを身につけることに恥ずかしさを感じるのでしょう?
そもそも、なぜ お揃いのものを身につけようとするのでしょう?

そこで、今回はこの「なぜ コーデを揃えるのか?」という問いについて、
少し掘り下げて考えてみたいと思います。

「お揃いコーデ」で身を包む人たち

InstagramなどのSNSでは、お揃いのものを身につけて、同じようなポーズをとった写真をよく目にします。

例えば、実際の双子だけでなく、友達同士などで揃えた装いをすることを意味する「#双子コーデ」というハッシュタグ付きのInstagram投稿件数は、実に98万件に上ります。(2022年10月末現在)

その他、「#カップルコーデ」、「#ペアコーデ」といった類似のハッシュタグ投稿も存在します。また、色や系統、形、柄などをお互いに揃えて「雰囲気」を合わせるコーディネートという意味の「#シミラールック」や、コーディネートの一部を揃える「#リンクコーデ」といったハッシュタグもありました。実にいろんな形で人々は「お揃い」を楽しんでいるようです。

このように、「お揃いコーデ」をまとう写真を投稿することは
・仲の良さをアピールしたい
・同じグループに所属していること示したい
・つながりを感じたい
というような意識が根底にありそうです。

また、そのハッシュタグの中には同時にテーマパーク名などが含まれることも多く見られました。テーマパークなどの非日常なシーンでは、その場限りではあるものの、ある種の思いや気持ちのつながりを確認したい、その気持ちを共有できるからこそ、その場がより楽しめるという意識があるのかもしれません。

「お揃いコーデ」は 恥ずかしい?

その一方で、「お揃い」という行為にネガティブな感情を抱く人もいます。
実際、雑談ではネガティブな意見の方が多くみられました。

「自分の好みでないものにお金を使いたくない」、「自分のセンスは大事にしたい」など、「自分」を大事にしたい意識がある一方で人との軋轢は避けたく、「他人の好みを確認したり、自分の好みとすりあわせるのは面倒」、そしてすりあわせた結果、「好みの”平均”を取ると得しない」と考えているようでした。

また、そこまでして「仲いいアピールをしているのが嫌」、「その”平均”ファッションが自分に似合っていないのではないか、周囲にどう思われるかが気になる」ことから、「恥ずかしい」といった発言がありました。

ネガティブ感情を抱く人は、他人の目に自分がどう映るかを意識していることが大きいようです。何らかの集団の意識に従って、「自分」を持っていないとは思われたくない意識があるようでした。

テーマパークでの「お揃いコーデ」に関する発言

実はうれしい「お揃い」

ただ、「偶然同じものを身につけていることに気づいた」というような、自然発生的な「お揃い」に対しては、ネガティブな感情はない、という話もでてきました。
むしろ、それは「同じ好みの人が見つかったうれしさ」を感じられるポジティブなものとして受け取られているようです。

きっと心の奥底には「つながりを感じたい」という思いがあるのではないでしょうか。あからさまにではなく、ひそやかに「好き」を確認しあえる偶然の「お揃い」は喜ばしいことなのかもしれません。

「つながり」を人に見せるということ

誰かと同じ「お揃い」に自らチャレンジすることは、「自分」をさらけ出すことと同義なのかもしれません。その自己開示へのちょっとした恐れや自信のなさが「恥ずかしい」といった感情につながっていそうです。

また、必要以上に人との軋轢を生みたくないという感情から、積極的に「お揃いコーデ」をしようと思えない人がいることもわかりました。
ただ、「お揃い」は、仲間意識を感じられるものであり、つながりを確認しあえるものとも言えます。

スマホの普及により、思い出の記録方法として画像が身近なものとなり、さらに、画像や動画を中心としたSNSが普及してきたことでで、そのつながりの表現の仕方もより視覚的なものに変化してきているように感じます。

その中で、「コーデを揃えること」は、より端的に、その時々の自分たちの関係性を人に伝える手段として、若者たちの支持を得てきたのかもしれません。
「つながり」を人に見せ、仲間の多さや仲の深さを証明することで、自己をより魅力的に見せることができる。自分の自信を満たせる。
そんな意識が根底にあるような気がします。

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