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20代男子とコスメのディスタンス

シルホド! では、定量データだけではわからないN=1の生活者の行動や価値観を深掘りして、インサイトの発掘や立体的なユーザー像を理解するための取り組みとして、「ナゼトーーク!」と題したインタビューを行っています。

今回のテーマは”20代男性のメンズコスメに対する意識”
男性向けコスメのアプローチ方法をさぐるべく、20代男性2名に、彼らの行動実態やコスメに対する意識をインタビューを通じて深ぼりました。

インタビュー対象者プロフィール

Aさんは、大学進学で上京したのをきっかけに肌が乾燥するように感じはじめ、スキンケアに興味を持つようになったそうです。
いろんな化粧水やパック、乳液も試してきた経歴をお持ちですが、誕生日にIPSAの化粧水をプレゼントされてから、自分でも買うようになったそう。乳液もいろいろ試して、今はMUJIブランドを愛用されているそうです。

Bさんは、今までスクラブ洗顔料でガシガシ洗うだけのケアだったそうです。ただ、最近になって毛穴汚れが気になりはじめ、テレビやTikTokで「泡立て洗顔がお肌に良い」という情報を得て、泡立て洗顔を始めたというスキンケア初心者でした。化粧水などは使ったことがないそうです。

コスメや情報接触にまつわる3つの発見!

肌ケア歴も、現在の身だしなみへの関心度も違ったお二人ですが、共通して発見できた事項をいくつかご共有いたします。

1. 「お肌の現状維持」が当面のゴールであり、何かを「オン」して良くしたいという感覚は希薄

お二人は「乾燥」や「毛穴汚れ」といった肌トラブルを発端としてスキンケアに意識が向き始めていました。その根底には「清潔だと思われたい」というような気持ちがあり、肌トラブルは「清潔を乱すもの」ととらえられているようです。

学生時代に比べて肌が汚い。肌荒れを更地の状態に戻したい。
清潔に見られたい。
自分の納得できるレベルまでいきたいし、気を使っていると思われたい。

Aさん

ただし、メンズコスメのラインナップにある、いわゆるベースメイクやメイクアップ用のコスメに関しては、あまりポジティブな見解を持たれていない様子。

肌そのものの状態を整えたいのであって、何かをオンして「きれいに見せる」ことは求めていないです。

Aさん

初心者には、いろいろありすぎて正直よくわからない。
そもそも「美」を求めていない。

Bさん

もちろん、「きれいに見せたい」「美しくなりたい」という欲求を持つ方もいらっしゃるとは思います。
ただ、彼らのように「清潔にみられたい」「肌の調子を整えておきたい」という方向で美容に関心が向き始めた層の人にとって、「美を追求する」というような切り口のコミュニケーションだと、自分との距離感を感じるといった話も出ていました。

2. あふれる情報の中から自分にとって大事なものを取捨選択。
デジタルを使いこなしながら、リアルな感覚・体感に価値を見出している。

デジタルネイティブと言われる世代の彼らは、普段の情報接触はオンラインが中心で、肌ケアの情報も主にオンライン上で触れたところが大きかったようです。

ちょっと前に肌悩みで何かを検索した結果、TikTokでいろんな洗顔のレビューが流れてくるようになった。その中でもテレビでも見かけたブランドで、素人の方の泡洗顔のレビュー動画が目に留まった。
その商品をドラッグストアで探し、購入した。

Bさん

美容に興味を持ち始めたタイミングで、隙間時間にTikTokを眺めていたら、洗顔の情報が流れてきてたまに見ていた。
基本的にTikTokは流し見だけど、(お休み前の)金曜とか土曜に見て、気になった商品を週末にドラッグストアで買った。

Aさん

彼らは「自分が関心を寄せるかもしれないもの」が表示されやすいものと認識した上でTikTokを眺めていて、「無駄のない効率的な情報接触」の場と捉えているようでした。
その中で、「自分に関係のない情報」は見飛ばしつつ、気になった商品については「使用感」の情報をコメント・レビューなどから確認し、ブランドを決めたうえで、「店舗で決め打ちで購入」するようです。

このように、デジタルをうまく使いこなすものというのは確認できましたが、さらに深掘りすると、一定の領域では「自分が体験すること」にも価値を置いているようです。

趣味はライブに行くこと。お笑いや音楽はやっぱりライブがいい。
オンラインで動画を見たりもするけど、
リアルだと内臓が揺れる感じがいいんですよね。

Bさん

デジタルとリアルを自分の価値基準のもとで、うまく使い分けるのがイマドキなのだなと、改めて気づかされました。

3. 買い物前に悩んだり手間をかけるくらいなら、多少の失敗は気にせず購入したい

デジタルの使いこなしの中で気になったのが、お二人とも気になった商品のレビューは見ているものの、あまり他の商品と比較しようとする行動が見られなかったことです。

そこまで高いものでもないし、使ってみて良しあしは判断している。
この前、評判が良いといわれているもの買って使ってみたが、肌に合わなかったから、今は違うブランドのものを使っている。

Aさん

比較しようにも商品はいっぱいあるし、よくわからないので「みんながつかってそう」なもので悪くなければそれでいい。

Bさん

肌トラブルなども体験しているにもかかわらず、情報収集は手間と感じられているのか、そこそこにとどめている様子。こういったところにもタイパ意識が反映されているのでしょうか。
「悪い評判がない」ことくらいまでは確認して、まずは使って試したいという意識が強い様子がうかがえました。また、ダメなら次!という切り替えの早さのようなものも感じます。

この人たちに届くコミュニケーション

今回のインタビュー結果から、メンズコスメのコミュニケーションを考えるうえでのヒントがたくさん発見できました。

あふれる情報の中から彼らに目にとめてもらうためには、彼らの行動パターンの中に情報を紛れ込ませるのと同時に、見飛ばされないような「自分たちとの関係性」がありつつ、さらに「おっ」と心が動くようなコミュニケーションであることが重要だといえそうです。

今回のインタビュー対象者にとって「きれい」という言葉に込められているのは「清潔」「あれていない肌」。ここでは「美しさ」は求めるニュアンスが違い、そういった方向性の情報は見飛ばされる可能性もありそうです。
彼らとコスメの距離感や肌感覚をしっかり理解することが、「届くコミュニケーション」に必要なものだと思われます。

さらなる示唆やそのもとになった発言などを「Z世代男性の情報接触とスキンケア」というレポートにまとめております。
ご興味のある方は、お問い合わせいただけますと幸いです。

(参考)レポートイメージ

このように、シルホド! では、ターゲット層の実態や心の奥底の気持ちをみつめ、生活者理解を深めて、心をゆさぶる企画立案のサポートを行っております。
こういった調査にご興味がある方はぜひお問合せください。

文:シルホド!note編集担当 友田

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