「リベンジ夜更かし」がやめられないのはどうして?
ちょうど一週間前の3月15日(金)は【世界睡眠デー】だそう。睡眠の質を向上する飲料が流行したり、様々なグッズが発売されたりと、昨今生活者が睡眠を大事にしたいという価値観が広がっているように感じます。
そんな中話題となっているのが「リベンジ夜更かし(報復性夜更かし)」。中国のSNSから生まれた言葉で、「日中に自由になる時間がなかった人が、夜更かしをして睡眠時間を減らすことを代償に、自由時間を得てしたいことをする」という意味があるそうです。
Xで「リベンジ夜更かし」を調べてみると以下のようなポストがよく見られます。まさに夜更かしの真っ最中、眠りにつけずにXを投稿している様子がちらほらと。
NTTドコモ モバイル社会研究所の調査によると、スマホ利用者のうち寝る前にスマホを見ている人は約6割を超えています。うち20代女性では約9割が布団の中でスマホを見ているのだとか。就寝前のスマホ利用が習慣になっていると言えそうです。
かくいう私も、少し前までは必ず寝る直前までスマホを見て「リベンジ夜更かし」をしていました。入眠直前にスマホを見るのはよくないと知っていても癖になっていたのです。
どんな気持ちで夜を過ごし、なぜ「リベンジ」を繰り返してしまうのかを考えていきます。
一日を締めくくってくれるのがスマホだった
予定が詰まっていて眠くなるほど疲れた日はスマホを見ずとも寝てしまいます。
一方、大きな変化のない「一日」を過ごすと、まだまだ寝るにはもったいない!と思ってしまうのです。無限に出てくるショート動画をぼんやり眺めたり、YouTubeで好きなコンテンツを見ることもあります。そうだ調べようと思って忘れていたなあなんてことを検索して、LINEの返信をして・・・・としているうちに気づけば2時間以上経っていることもしばしば。
ですが、入眠直前のスマホは心身に悪影響なことは言わずもがな。快眠を妨げているのはわかっているのにやめられないのです。
それは、このスマホをいじるという行為がわたしにとって、大した思い出もない「今日」をクロージングする儀式だったからです。変化のない日だったからこそ、寝る前に何かをしないと一日を締めくくれないと感じているのだと思います。
まさに「リベンジ」という名の通り。
わたしにとっては何かをした気にさせてくれるのがスマホを見ることなのです。
眠りの成功体験を積んでいく
「やめられないんだもん」と言い訳してスマホを何時間も見ているので当然眠りにつくのも遅く、朝の目覚めもとても悪い日が続きます。もともと朝起きるのが苦手なのですがさらに身体のだるさを感じるようになっていました。
早く眠りにつきたいのにスマホを見ないと眠れない。
そんなジレンマの中、寝る前にストレッチをするようになりました。デスクワークが多く肩も腰も痛すぎるのをちょっとでもマシにするためです。ちょうど部屋を綺麗に片づけてスペースができたので毎日ラジオを聴きながら15分ほど取り組むように。
そして、そういえばこのラジオを聴きながらベッドに入ればスマホを見ずに済むのではないか?とひらめきました。すると本当にすぐ眠りにつけたのです。
「あ、なんだ眠れるんじゃん」と嬉しくなり、【ストレッチ→ラジオ】というお決まりの流れが確立されていきました。
たった10分そこらのストレッチ。相変わらず身体は痛くて大した改善は感じていません。でもそれが【自分のために何かをした感】を生み出しているのです。「平凡な一日だったけど、最後はちゃんと自分を大事にしてあげられたよね」と気分が良くなる。その心地よさのまま眠りに着きたいので、スマホを見ないでおこうというマインドチェンジにつながったのだと思います。
「わたしはわたしを大事にしてあげた」という感覚
今日を締めくくってくれる存在だったスマホ。それはわたしの心の何を満たしてくれるわけでもなく、おまけに脳を興奮させ、寝たいのに眠れないという状況を作り出す犯人でした。
スマホと入れ替わり、一日を締める役割として登場したのがわたしにとっては「ストレッチ」。今日という日が何の面白みがなかったとしても、寝る前の何分かは自分のために時間を使えたということが、一日トータルの満足度を上げているのだと思います。
快適な睡眠へと導く商品が次々と発売されるほど、たくさんの人が自身の眠りを改善したいる昨今。睡眠グッズには「自分で自分を大事にしてあげられた」という気持ちを満たせる要素があると、より生活者の心に刺さるのかもしれません。
文:シルホド!note編集担当 飯野