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今、「マツケンサンバ」の再ブームが来ているらしい。

金ぴかの衣装にちょんまげ姿で楽しく踊る『マツケンサンバⅡ』。2004年発売の楽曲ですが、今、若者の間で「マツケンサンバのコラボカフェ」が話題となっているのをご存じでしょうか?

かく言う私もネットニュースで見て知ったのですが、「マツケンサンバのカフェ・・・?どんな人が集まっているのだろう!」と気になり、仕事終わりに覗きに行くことに。
なんとびっくりなのが、カフェに入るためのチケットはすでに全日売り切れ。カフェ前のグッズ売り場には私と同じようにカフェに入れなかった人達がたくさん買い物をしていました。

店内もグッズ売り場も私と同じく20代女性でいっぱい。友人と一緒にあれやこれや商品を手に取り悩んでいる様子です。松平健さんのファン層とは異なっていそうな・・・。本来「コラボカフェ」といえば、そのコンテンツに対し熱量の高いファンが客層になることがほとんどでしょう。ところがこのコラボカフェは毛色が違うように思います。

そもそも『マツケンサンバⅡ』自体は2000年代前半のヒットソングですが、2021年の第72回「NHK紅白歌合戦」で披露されたり第66回 有馬記念とコラボしたりと、再ヒットの兆しが見えてきます。

なぜ今マツケンサンバのコラボカフェが人気なのか?その理由を考察していきます。

直接的な励ましが響かないとき

まず、『マツケンサンバⅡ』の曲自体に注目してみましょう。

自分自身がこの曲を聞いていても、YouTube上のミュージックビデオに多く見られるコメントも「元気が出る」。確かに明るい雰囲気ではありますが、なぜここまで人を惹きつけるのでしょうか。

歌詞を見てみると、何か訴えたいテーマというよりは「一緒に踊り明かそう」ということが全面に来ています。

そしてサビ終盤には決まって「マ・ツ・ケ・ン サンバ オレ!」。
どういう意味なのかと考えるのも野暮なほど、ただただ【”マツケン”のサンバ】なのです。

何の心配事も湧かないような景気の良い音色とハッピーがあふれる歌詞。そこにどんな意味があるかはわかりませんが、わからないからこそ誰もが「マツケンサンバ」ワールドに歓迎されていると思えるのでしょう。

辛い時ほど「大丈夫!」や「絶対できる!」といった背中を押す歌詞がむしろうざったく感じられる場合もあるはず。歌の世界が自分の状況にピタッとはまらなかったり、力強い応援では救われないほど悲しかったりするとき、言葉は非力です

『マツケンサンバⅡ』には直接的な励ましの言葉はありません。でもなぜか私たちの心を照らしてくれるのは、”マツケンサンバワールドの中で一緒に踊ろうよ”というウェルカム感があるからだと思います。マツケンサンバを踊る限りは誰も取り残されないし孤独にもならないと感じさせてくれるのです。

なんだかよくわからないけどこの世界観に飛び込んでみたい!という気持ちを刺激するのがこの楽曲の特徴なのではないでしょうか。

本当は全力で楽しみたい私たち

コラボカフェの盛況っぷりに、思わず社内コミュニティへとその様子をUPしたところ、「マツケンサンバ」の再流行に対してこのようなコメントが。

なかやまきんに君さんが近年再燃したのも似た心理なのかなーと思ったりしました。うまく言えないのですが、最近は「くだらなさが逆にいい/ハッピー全振りでいいじゃん!」みたいな空気ある感じがします。
社会の変化か、見る側が年を重ねたからなのか、一度過去に流行ったものの再燃だから受け入れられやすいのかとか、色々考えられそうで面白いです。

Aさん

あー!なかやまきんに君は確かにそうですね!笑
時代の多様性とか個の尊重~とか複雑な社会になったからこそ、単純なものの価値が上がっているってあると思います。「欲求が本能的になっている」にも近いものがあるのかなと。
小難しく考えなくてもハッピーになれるものって大事なんだと思います。

Bさん

くだらないと思う冷静さ(理性)⇔何も考えず全力で楽しみたい(本能)
の間での揺れ動きがより本能側に傾いてきている、ということでしょうか。

Bさんのコメントにあるように、複雑な文脈を孕んだものが崇高で良いとされる一方で、その小難しさを脱却したわかりやすい面白さ・楽しさの価値も上がってきているように思います。

マツケンサンバやなかやまきんに君などを自分の中の言い訳にして、単純明快なものを全力で楽しみたい!という欲求が見え隠れしているのではないかと推察します。

異質さとリバイバル

なぜこのコラボカフェが大盛況か、それは異質さを含んだリバイバルだからというのが理由の一つだと考えます。

そもそもこの『マツケンサンバⅡ』というコンテンツ自体、当時の流行をよく知らない若者にとっては謎が多いのです。

なぜキラキラの衣装を松平健さんが着ているのか・なぜほかの人も楽しそうに踊っているのか・なぜちょんまげ頭なのか・この曲の意味は何なのか・・・聴き馴染みがあるにもかかわらず、よく考えるとわからないことがたくさんあるのです。

加えて、昔流行ったものが「コラボカフェ」という現代ブームの型に落とし込まれていることもある意味”異質”で、興味をそそられるポイントになっているのだと思います。”マツケン”がピザにぶっ刺さっている絵面、”マツケン”が小さくキラキラになったマグネットやステッカーなどのグッズ。【かつての流行×今っぽさの融合】が、「なんだろう?」と若者の心をくすぐるのでしょう。


↓こちらの商品、私が行ったときは何箱も購入するお客さんが多くて驚きました。「いろいろな絵柄のマツケンがランダムに出てくる」というその事実(≒体験)が物珍しくてワクワクするのだと思います。私は3箱買いました。


なんだかちょっと不思議、だけど楽しそう。そのように思わせることが若者を取り込みブームを作る秘訣として、他のコンテンツにも応用できるのかもしれません。

文:シルホド!note編集担当 飯野

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