チューブ調味料が自己肯定感をあげる?Z世代単身者に聞いてみた
シルホド!では、「ナゼトーーク!」と題し、とあるテーマに関心が高い社員をゲストに迎えてインタビュー。定量データだけではわからないN1の消費行動や価値観を深掘りして、インサイトの発掘や立体的なユーザー像を理解するための取り組みを行っています。
今回のテーマは”チューブ調味料”
一人暮らしのZ世代を取り込むための参考情報の収集を目的として、20代女性2名にインタビューを行いました。彼女たちと「チューブ調味料」との関わり、自炊の状況や意識などを深ぼりました。
そこから見えた3つのファインディングスをご共有します。
〇今回のインタビュイー
・20代前半女性Aさん
所持しているチューブ調味料:生にんにく、生しょうが、コチュジャン、わさび、粒マスタード
参考情報:料理好き、仕事の忙しさや外食のスケジュールを加味して計画的に自炊を行う。
・20代前半女性Bさん
所持しているチューブ調味料:生にんにく、生しょうが、練梅、生わさび、柚子胡椒、コチュジャン
参考情報:節約の為に自炊を行う。その日の冷蔵庫や帰宅時のスーパー営業時間に合わせて都度対応。
〇3つのファインディングス
インタビューを経て、以下の3つのファインディングスがありました。
それぞれ掘り下げてご紹介いたします。
チューブ調味料によって料理工程を省きながら”ちゃんとやってる自分“を感じることができ、疲弊した自分を励まし褒めたたえている
新しい味や調理の可能性には興味があるが、チューブ調味料の使い道や完成のイメージがないと購買喚起には至らない
商品選択のトリガーに、実家で使用していた商品/メーカーへの愛着に加え、棚前でパッケージや価格を見て検討する
①チューブ調味料によって料理工程を省きながら”ちゃんとやってる自分“を感じることができ、疲弊した自分を励まし褒めたたえている
自炊の頻度や料理への気持ちは両者異なるものの、2人ともにチューブ調味料を多用していることがわかりました。
忙しく仕事をしている2名に共通して、自炊して頑張った自分を自分で褒めている様子が伺えました。
チューブ調味料は手間を省きたいときに使うアイテムですが、2名それぞれ手間を省きたい簡単料理は異なります。
例えば、Aさんにとっては「豚の生姜焼き」。Bさんにとっては「にんにくパスタ」です。
「パスタ」といってもAさんにとっては手間をかけたい料理ということで、にんにくチューブではなくあえて切って使うことにこだわっていました。
時間がない時にも自分で美味しいものを作って食べること、それは自分を労わり称えることに繋がるんだと気づかされました。
なぜそうやって思えるのか考えてみると、
仕事や人間関係において、自分の思い通りにいかないことや自分という存在が揺らぐことが往々にしてあると思います。
一方で自炊は、全行程を自分一人で行い他者は介在せず、自分のペースで思い通りにできます。その先に"自分だけで作れた"美味しい料理が自己肯定感を引き上げているのだと推察されます。
そこにチューブ調味料は欠かせないキーアイテムになっていました。
②新しい味や調理の可能性には興味があるが、チューブ調味料の使い道や完成のイメージがないと購買喚起には至らない
チューブ調味料の商品パッケージやカテゴリ分けの写真などを見せながら、今持っている商品以外のチューブ調味料についても聞いてみました。
両者ともに見たことがないチューブ調味料に"こんなのあったんだ"と興味津々な様子でした。ただどんな料理でどうやって使えるのか想像がついていないことがわかりました。
また食材を腐らしたり、賞味期限を切らすことに敏感で、購入しても一人で使いきれるかどうかということを懸念していました。
そのため、「チューブ調味料が使い切れるような献立バリエーションが提示されていれば購入するかもしれない」という発言もありました。
またBさんは友だちと作ってみてそのメニューが簡単で美味しいと気に入り、自分でも作ってみたいということで、新たなチューブ調味料を購入したそうです。
今ではそれが定番メニューになっていて、練梅チューブを多用しているそうです。
一人暮らしだからこそなおさら、食品を無駄にせず一人で食べきれる範囲の買い物を意識しています。チューブ調味料を新たに購入しようとしたときに、簡単手軽に作れるレシピや完成イメージが提示されていれば購入のきっかけになることがわかりました。
インタビューから、丁寧で綺麗な完成イメージを訴求されるよりも"ズボラ飯"や"限界ごはん"というほうが実態にあっているということもわかりました。
口に運ぶまでのイメージがないと購入に繋がらないというのは当たり前なことではありますが、Z世代の一人暮らしにとっては新たなチューブ調味料の使い方や魅力がまだまだ伝わっていないことも気づきとなりました。
③商品選択のトリガーに、実家で使用していた商品/メーカーへの愛着に加え、店頭でパッケージや価格を見て検討する
Aさんに関しては、実家での使用していた商品に愛着があり、同じものを継続して購入したいという気持ちが伺えました。
ただ両者ともに値段にはシビアで、店頭で実際に見て安い方を選択するという行動をとっていました。
また店頭で購入の決め手となったのは、パッケージの"生"の表記でした。特にワサビについては生で食べる刺身などに使うことが多いことから、"生"に惹かれてこだわって購入していることがわかりました。
料理の過程のなかでチューブ調味料は様々なシーンで登場してきます。実家の冷蔵庫には少なくとも1本や2本はあるのではないでしょうか。
私自身は、実家で使っていた商品/メーカーがなにであったかはわかりませんが、母と買い物に行くとチューブ調味料に限らず、"うちはこれ使っているから"と宣言されることがあります。
そんな風に親から子へと実家で使っていた商品やメーカーへの安心感や信頼感が世代を超えて受け継がれるブランド力も垣間見えました。
〇3つの価値観とユーザーのペルソナ像
先ほどのインタビューから、3つの価値観を見出しました。
<インタビューからわかった3つのニーズ・価値観>
疲弊した状況でもうまいことつくってよくできた自分を励まし褒めたい
活用しきれないことへの躊躇い、提案の献立が自分にあえば取り入れたい
実家で使っていた商品・味には愛着があり継続購入したい
上記の価値観に加えて、インタビュイーの言動・感情から、2つのペルソナを想定し、レポートとしてまとめました。
詳しい内容につきましては、お問い合わせいただけますと幸いです。
チューブ調味料についてインタビューしながら、自炊にまつわる一人暮らし特有の悩みや社会人として頑張るゆえに抱える気持ちの様が見えてきました。
シルホド! では、ターゲット層の実態や心の奥底の気持ちを明らかにし、生活者理解を深めてペルソナを設計していく為の示唆出しなども行っております。
是非、ご参考にして頂けますと幸いです。
文:シルホド!note編集担当 小林