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〈2023年トレンドをピックアップ!〉「レトロブーム」ってなんなんだろう?

2023年もいよいよ終盤。皆さんはどのような一年を過ごされましたか?

今年の春、コロナが第五類に緩和され、以前の人流にまで戻ってきつつあります。連日感染者数がニュースになり第〇〇波が報じられていた2022年とは心持ちも多少変わっていることでしょう。リアルの価値を改めて実感!とはいえ、オンライン上でできることもぐんと広がった一年だったなと感じています。

そんな中、数年前から継続しているのは「レトロブーム」。懐かしのコンテンツがリバイバルしたり、昔っぽいものやデザインが可愛いと注目されたりと、古き良き的なものが復活している印象です。

そんなトレンドの中で今年筆者が気になったものを取り上げつつ、どのように人の心を掴んでいるのかを考察していきます。


2023年のトレンド

■マツケンサンバ

過去の記事でも『マツケンサンバⅡ』のコラボカフェを取り上げました。実はその後も再度開催されたカフェの抽選に申し込みましたが落選…人気っぷりがうかがえます。

コラボカフェ以外にも、さまざまなコンテンツとのコラボレーションが発表されています。宮城県仙台市の「仙台うみの杜水族館」では「マツケンサンバ水族館」と題したイルカ・アシカのパフォーマンスを開催中。さらにクレーンゲームのグッズ化や「第68回有馬記念」とのイベントも決定。

『マツケンサンバII サンバ ビバ サンバスタオル』 (C)SANKIPROMOTION

松平健さんのコンサートや舞台にも若いお客さんが増えたそうで、ファン層の広がりが感じられます。音楽番組でも『マツケンサンバⅡ』が披露されているのをよく見かけました。あのきんきらきんの衣装と大所帯のダンスを見るだけでなんだかハッピーな気分になれます。

■たべっ子どうぶつ

動物の形をした薄焼きのビスケット『たべっ子どうぶつ』。お菓子のビスケットのデザインやパッケージの動物たちのグッズ化が加速しています。

「一番くじ」や「カプセルトイ」をはじめ、昨年はGUとのコラボ商品も発売!ビスケットだらけのパジャマ、なんだかおいしい夢が見られそうですよね。今年は誕生45周年を記念して、コラボカフェ「たべっ子どうぶつLAND」が全国を巡回。キャラクターと一緒に写真が撮れるキャラクターグリーティングも行われたようです。

一度は見たことあるはずのカラフルでころんとしたキャラクターたち。おやつを探しにコンビニへ行くと、ついつい手が伸びる機会が増えたような気がします。

■おしゃれ魔女 ラブandベリー

セガが開発した、トレーディングカードを使用する着せ替え&リズムゲーム。「オシャレまほうカード」を使ってキャラクターをコーディネートし、完成したコーデでダンスのリズムゲームが遊べます。2004~2008年までアミューズメント施設等に設置されていました。

サービスは終了しているものの、今年の夏ごろコラボカフェが開催されグッズが展開中。さらに「ラブベリ」の変身シーンを完全再現したYouTubeの動画は300万回近く再生されています。

キャラクター2人の来ている洋服、まさにY2Kファッション(=2000年前後に流行したカジュアルな着こなし)ですね。ショート丈のタイトなTシャツ・カラフルなコーディネート・・・など、ファッションスタイルの流行って本当に繰り返されるものだなあと思います。このような恰好の女の子をちょくちょく街でも見かけますし、最近のK-POPアイドルはこんな雰囲気の衣装を着ていることが多いです。

以上3つを取り上げてみて私が面白いなと思ったポイントは、過去自分がこのブームの渦中を通ったり一度出会っているモノたちだということですこれらが復活してブームになっているのはなぜなのか?という点に関心が湧いています。

これらのリバイバルに共通する要素とはいったい何なのでしょうか?

リバイバルの何に良さを感じているのか?

①共通して語れる「あるある」の強さ

『おしゃれ魔女 ラブandベリー』を例に、先ほどご紹介した動画のコメント欄から、生活者がどんな気持ちになっているのかを分析してみます。

「え画質までそのままで泣いた」
>「こだわりの画質再現」
>>「やった! バッチリね! のところの画質のこだわり笑」

「めっっちゃ懐かしいっ!!ラッキーカラー無視しても大体そのステージに合っていれば高得点もらえた気がする…完成度高過ぎです」

過去にゲームをプレイしていた人達が動画を見ることで「これってこうだったよね」「そんなのあったよね」という再確認ができます。コメント欄を見るとなおさら、同年代のゲームのプレイ経験がある人々に出会えるのです。ゲーム上での出来事が「あるある」(≒「そんなのあったね」)と化し、共通の話題として語れる(誰かと同調できる)ことに価値があるのではないかと推測します。

②懐かしい!という感情でよみがえる記憶たち

そんな「あるある」の懐かしさを感じていると、記憶の引き出しが開いてくる人も。

「友達と門限超えても近所のスーパーで夢中になってラブベリやっててお互いの家族が総出で私たちを探してたのを思い出した」

↑光景がありありと浮かんでしまうのは、やはりコメント主と私が同世代で同じような道をたどってきたからなのでしょうか。

実は私は「ラブベリ」をほんの数回しかプレイしたことがなかったのですが、この動画を見ていると、友達の持っていたカードが収納されているファイルやその当時の会話をハッと思い出しました。今まで頭のどこかに眠っていた記憶が自然と引き出されたような気分です。

【かつての好き】→【フラッシュバック体験】がもう一度コンテンツへの興味を湧き起こす起爆剤になっていると言えるのではないでしょうか。

「ファン」じゃないのに、なぜグッズを買いたくなるのか?

懐かしさと思い出回復が興味を再燃させるのはいいとして、「グッズを購入する」というのは少しハードルが高いもの。もちろんお金がかかることですしよっぽどのファンじゃないと食いつかないのでは?と感じる方も多いのではないでしょうか。

ここで以前のマツケンサンバをもう一度取り上げてみます。『マツケンサンバⅡ』のコラボカフェに気まぐれで出向いた私は、松平さんのファンでもマツケンサンバの虜でもなかったわけなのですが、気づけばステッカーとマグネットを手にしていました。

改めて当時の気持ちを振り返ると、「なんでマツケンがグッズになってるんだろう?」というワクワクした違和感が商品購入へと突き動かしたのだと思います。

おそらく、かつての流行が【手ざわり感のあるグッズ】として新しいコンテンツになることで愛着心が湧き上がってきたのです。

「たべっ子どうぶつ」のキャラクターは確かにとてもかわいいですが、「このグッズを集めたい!」という熱量を持つ人が増えたのはコンテンツ展開の幅が広がってきた最近のことではないでしょうか。グッズとして手に触れられるものになった瞬間、「かわいい」「好き」という感情にスイッチが入り購買意欲が湧くでしょう。

ファンだからグッズを買うのではなく、グッズが出るからファンになっていくという矢印が正しいのではないかと予測しています。

2024年は何がリバイバルするのか、どんなものがレトロブームの一員になるのか楽しみです。

文:シルホド!note編集担当 飯野


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