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飲酒選択からみる20代男性の価値観の変化

「ソーバーキュリアス(ソバーキュリアス)」という言葉、皆さんご存じですか?
ここ数年で見聞きすることが増えたように思いますが、Sober(しらふ)とCurious(好奇心)を組み合わせた造語だそうです。
英国出身のルビー・ウォリントン(Ruby Warrington)が提唱した
お酒を飲める人が、あえてお酒を飲まないか少量しか飲まないライフスタイルや考え方のことを指しています。
日本でも若年層を中心に広まりつつある考え方のようです。


生活者データでみる酒類市場

経済産業省の調べによると、若い世代ほど飲酒習慣が少ない傾向にあり、国内種類市場の縮小に影響しているとのことでした。

そんななか酒類メーカー各社、ノンアルコールや"微アル"商品が続々と出ており、今年の10月にアルコール分3.5%の「スーパードライ」として『アサヒスーパードライ ドライクリスタル』が発売されています。
通常の「スーパードライ」はアルコール分5%なので、アルコールが弱い商品でビールとの新しい付き合い方を謳っています。

以下、TBS総合嗜好調査によると、10年前と比べて「アルコール分の強いお酒が好き」と回答する割合が特に男性20代で10ポイント以上も減少しています。
経年で生活者データをみても現在の20代男性の飲酒嗜好が変化していることは明らかです。

「次のいろいろな食生活の態度の中で、あなたにあてはまるとお感じになるものがあれば、いくつでもけっこうですからお知らせください。」-「どちらかといえば、アルコール分の強い酒類が好きなほう」と回答した割合
「TBS総合嗜好調査」調べ

ソーバーキュリアンの価値観

ソーバーキュリアスな人々のことを「ソーバーキュリアン」というそうです。なぜソーバーキュリアスに注目が集まり、その選択する人がいるのでしょうか。
先の生活者データからみるように10年前と比べて特に飲酒嗜好が変化している20代男性でしたが、n1視点で考えてみたいと思います。

シルホド!でインタビューを実施した20代男性Aさんの発言からは、飲み会でおじさんたちを冷静に横目で見つつも、自分自身はお酒で変わらないと律する様子が伺えました。

おじさんたちは我を忘れられる感がすごい
自分はなんかそこまでいけない
どうしてもそうなってる自分を見てくる俯瞰のもう一人の自分がいて「イタい事してない?」と言ってくる

飲み会にまつわる20代男性Aさんの発言

お酒によって自分をコントロールできずに、周囲に変な目で見られたくない、失敗して恥をかきたくない、などという気持ちがありそうです。
そして「イタい事」とは自分を逸脱する行為で、常に自分らしい自分でありたいというインサイトがあるように思います。

また社会的背景でいえば、個人の違いが尊重され、受け入れられやすく、各々の自分らしさを追及できるようになってきました。
お酒に関していえば、強いお酒を好む/好まない、お酒を飲む/飲まないも自由に選択でき、それが許容される社会であることも「ソーバーキュリアン」誕生の背景にありそうです。

お酒に代わるもの?

人によってはお酒を飲むことがストレス発散法のひとつであると思いますが、前述のとおり20代男性に焦点を当ててみます。
TBS総合嗜好調査によると「お酒を飲む」と回答した割合が、2012年と比べて6.5ポイントも低くなっています

では現在どんなことがストレス発散法になっているのでしょうか。

「あなたが疲労回復やストレス解消のためにしていることがあれば、次の中からいくつでもお知らせください。」※一部抜粋
「TBS総合嗜好調査」調べ


「音楽を聞く」「自宅でゲームをする」などの趣味であったり、
健康を意識してか「食事に気をつける」や「散歩する」ようになり、たばこやお酒を控える
ようになっています。
興味深い変化として「ゴロ寝をする」が10ポイント以上も低い結果でした。

自分らしさの追求

今の20代男性は、だらだらとした時間を過ごすよりは、自分の趣味や健康的な時間を過ごす方がストレス発散に繋がる割合が高いことがわかりました。
能動的な行動によってリフレッシュしており、自分にとって有意義な時間を過ごすことで、自分らしくいれる状態を追求しているようにも思えます。

n1インタビューから鑑みても、人によってはお酒を飲むことで自分自身のコントロールが効かなくなることもあると思います。
その為、自分らしくいたいのでお酒を控えるという選択をする人が増えているんだろうなと感じました。
お酒に限らずですが、今後、自分らしくいる為の有意義な時間の過ごし方や選択肢が多様に広がっていくのではないかと思います。そしてそれを尊重されたり表現される社会に変化してきていると感じます。


このようにシルホド!では、自分自身を含めた生活者の行動や態度を見つめることで、企画の立案からサポートを行っています。生活者を理解し心に刺さる企画にご興味がある方はぜひお問合せください。

文:シルホド!note編集担当 小林

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